デンタルクリニック ツチヤ 土屋信人の連載コラム 第7回  『在宅ケアを考える集いin越後』に参加して

『第4回 在宅ケアを考える集いin越後』に参加して

去る7月24日(日)に「住み慣れた地域の中で」をメインテーマとして第4回の「在宅ケアを考える集いin越後2011が新潟市に於いて開催されました。今回で3回目の参加になりますが昨年に比べると参加者の数は少なくなったようで少し残念でした。

開催にあたって、新潟県在宅ケアを考える会の黒岩卓夫会長によれば・・・

『厚労省からは来年24年度、医療・介護同時改訂を機に、新たなコンセプトと制度を導入する形で「地域包括ケアシステム」の構築が提起されています。その骨子は、ケアの24時間体制とそれを支える医療システムの充実です。

さらに「地域」を病の予防から治療、介護から看取りまでの“住みよい・居心地のよい場”にしたいという目標をおいています。たしかに疾病の多くはその予防、早期発見、治療に至るまでメタボ疾病群はもとより、精神的疾患や悪性新生物に至るまで、大病院があれば事足りるというものではありません。地域での生活の場がそれに代わるものになってきました。

生活の場としての地域は、介護保険法による生活支援と、中小病院と診療所による医療連携によって支えられます。大病院はこのシステムでは手に負えないケースを引受ける、いわば地域システムを専門病院として支えるサブシステムに相当するものです。

今回こうした具体的な地域システムを土台として、4つの分科会と特別講演というプログラムを作成しました。全員が発言する気持で参加していただくことを期待してごあいさつとさせていただきます。』

とのことで今回も非常に興味深い内容となっていました。ちなみに

『第4回 在宅ケアを考える集いin越後』プログラムをご紹介しますと

○分科会

1「在宅医療における医歯薬連携」

コーディネーター: 県立津川病院                  吉嶺文俊さん

金井秀樹さん

座長      : 吉嶺文俊さん、荒井節男さん

2「在宅ケアの可能性と施設の果たすべき役割」

コーディネーター:新潟県介護支援専門員協議会会長 高橋是司さん

3「在宅の課題~住まいのあり方と連続する包括ケア~」

コーディネーター:高齢者総合ケアセンターこぶし園総合施設長

小山 剛さん

4「地域における医療・福祉のネットワーク構築の取り組み」

コーディネーター:在宅介護支援センター広神   枝村和枝さん

○分科会総括

担当:新潟県宅ケアを考える会 事務局長  上村伯人さん

各分科会コーディネーター

○一般公開特別講演

「住み慣れた地域の中で~地域包括ケアシステムを考える~」

講師:新潟県在宅ケアを考える会 会長   黒岩卓夫さん

私は当初の参加予定は分科会1でした。ちなみに分科会1「在宅医療における医歯薬連携」は、在宅ケアのポイントの「多職種連携」おける、薬剤師、医科医師、歯科医師の3職種は現在どのような連携がとられているか、課題を探りながら、さらに深い多職種連携に向けて考えてみるとのことで歯科の分野が広く興味深い内容でした。

歯科医師の立場として発表された魚沼市でご開業の藤本 誠先生は、お世話になっている障害者歯科診療スタディグループの会長でもあり、訪問歯科診療にも非常に豊富な経験をお持ちでいつもお教えいただいている先生方のお一人です。以下内容ですが

分科会1資料

「訪問歯科診療と他職種との連携」

魚沼市開業 歯科医師 藤本 誠

わたしは訪問歯科診療の目的は「食べることへの支援」だと考えている。要介護高齢者の日常関心事の第一位は食事である。 しかし、現実には、普通食を食べることができる口腔を維持している要介護高齢者の数はきわめて少ない。このことは施設歯科検診の結果からも明らかである。虫歯の放置、不適合な義歯の使用、義歯の未使用等は、口腔機能の低下廃用を招く。介護の現場ではこういった口腔機能が低下した方へは刻み食、ミキサー食で対応する傾向にあり、さらなる口腔機能低下という負のスパイラルを招くことになる。では、歯科的対応をすることで口腔機能の低下は防ぐことができるのだろうか。

身体動作のうち最も簡単なのは「食べる」ことであるといわれている。食べる機能を維持向上させるためには、口だけにかかわることなく身体機能へのアプローチを行わなければならない。

口腔機能維持向上は、低栄養への対応、誤嚥・窒息予防、運動器の機能向上、おいしく楽しく食べるための環境づくりなど総合的な取り組みを行うことにより成し遂げられ他職種との連携が不可欠である。このことは口腔機能向上に係わるものすべての職種が理解していなければならない。

口腔機能の向上には摂食・嚥下リハビリテーションの手法が大いに役立ち、実践も研究も進んでいる。ただ、医療の現場では摂食障害=低栄養=刻み食、嚥下障害=誤嚥・窒息=胃ろう・投薬・ワクチンに重きを置く傾向にあり、残念ながらリハビリテーションを通した摂食嚥下機能への対応は種々の理由から広くおこわれているとは言い難い。

さらに当地域の医療介護福祉資源を俯瞰してみるといわゆる「寿司屋でラーメン」状態であることは明白である。少ない資源をいかに有効に活用するか。各分野とも共通の理念、

認識をもって連携し行動することが求められている。

今回のプレゼンテーションでは「食べることへの支援」の一環として、当院がおこなっている訪問歯科診療および介護現場での他職種との連携の現状と問題点について報告したい。

実はこれを聞くのが目的で行ったのですが・・・しかしながら、他の歯科医師の先生に頼まれて分科会4に参加してくれと・・・急遽、参加することになり内容を聞いてみると県内各地域における医療・福祉のネットワーク構築の取り組みについてでした。

余談にはなりますが、それぞれ発表は新潟市秋葉区(旧新津市)、阿賀町、新潟市中央区、妙高市、西蒲区でした。妙高市以外の地域は、新津は前職所属歯科医師会の場所、阿賀町は前職地、中央区は現住所地、西蒲区は合併前の地元と地域特性は、たぶん参加者の中では一番理解していたのでは?と思いました。(笑)

結果をから言えば歯科医師の活動よりも最近では地域保健分野の活動が多く、医療・介護全体を考えることが多いのでネットワークの構築は今の自分なりのテーマで非常に参考にさせていただきました。

ネットワークの構築に対して地域を取り巻く環境が重要であり(たとえば新潟中央区と阿賀町では同じ方向性でシステム作り上げることができないように)また、利用者の皆さんに対しては医療介護連携ノートなどの紙媒体を利用したアナログ的な対処が必要であり、構築する関係者同士ではタイムリーに情報を共有できる手段としてデジタル的な対処としてメールなどが必要と考えられているようです。(当日はテレビのアナログ放送最後の時間でしたが個人的に、もう少し踏み入れるならばソーシャルメディアの利用を視野に入れるべきでは?と感じました。)

午後からの分科会総括では、特に分科会3「在宅の課題~住まいのあり方と連続する包括ケア~」が気になりました。よく医食住(医療・介護の分野ではこれがあっていると思います)という言葉に表されますが、在宅ケアを考えていく上で住まいは当然重要ではありますが、今回は住宅というよりも地域・コミュニティを構築するという発想が目を引きました。後日、新潟県介護支援専門員協議会 高橋是司会長の所属されている燕市の施設の開設の記事を地元紙で拝見したときに、分科会2「在宅ケアの可能性と施設の果たすべき役割」も絡めた「これか!」という感じがしました。

最後に、在宅ケアを考える集いin越後はブログでは書ききれない密度の濃い内容で、みなさんにどこまで伝えきれたか不安ですが、非常に有意義な内容に満足しています。また運営をしてくださっているスタッフのみなさんに感謝すると共に、次年度は、朱鷺メッセで全国大会が開催されるとの事で医療・介護を支える多くの人たちが参加してくださることをお願いいたします。

★デンタルクリニック ツチヤ★

〒959-0264 新潟県燕市吉田3751 電話0256-93-1182

ホームページ http://www.h5.dion.ne.jp/~dctutiya/

参考記事:三條新聞・越後ジャーナル

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